相続対策としての不動産投資(1)
相続対策として不動産投資や賃貸建物建築をする際に借り入れを行うと、相続財産が減少するので、一定の節税効果が見込めます。
しかし、借り入れに伴い一定のリスクがあります。そのリスク回避にはポイントを押さえる必要があります。
今回はそのうちの一つ、「賃料下落の想定」についてお伝えしたいと思います。
賃料下落の想定
長期間賃料不変はありえない
借り入れを伴う不動産投資や賃貸建物の建築は、賃料収入で借り入れを返済しながら利益を得ます。しかし、事業収支表の中には賃料収入が長期間(30年など)不変のものを見かけることがあります。
一般に、築年数が経過して新規物件が供給されれば、新規物件より古い物件の方が賃料単価は低くなるはずで、長期にわたって賃料が変わらないという想定には無理があります。
では、どの程度の賃料下落を想定すればよいのでしょうか。
愛知県の賃貸住宅の家賃相場・下落率
賃貸アパート
データ出典:ウチノカチ 愛知県賃貸アパート 上記データより愛知県内のアパートについては新築時より10年経過毎に概ね10%前後の一定割合で下落していることがうかがわれます。
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賃貸戸建
データ出典:ウチノカチ 愛知県賃貸住宅(戸建) 上記データより愛知県内の賃貸戸建住宅については新築時から10年までは下落率が大きく10年経過以降はゆるやかな割合で下落していることがうかがわれます。 |
エリア・間取(広さ)別の家賃相場をチェック
地域によって家賃相場は違います。右の表のように名古屋市内を例にしても区によってかなり相違があります。また間取・賃貸面積によっても相場感があります。 右の表ではわかりませんが需給バランスにも注意が必要です。例えば、単身用ワンルームタイプの供給が需要より多い場合、競争は激しいと考えられます。こういった物件を購入または建築するのであれば、競合物件との差別化戦略が必要となります。 賃貸需要を探る参考として「見える賃貸経営」は一つの目安になると思います。 供給状況についてはスーモ、アットホームといった賃貸住宅のポータルサイトを参考にどのくらいの物件が掲載されているかでチェックできると思います。 |
データ出典:リクルート(スーモ) |
不動産会社との連携
エリアごとの賃料設定や賃貸の需給バランスをチェックした上での今後の賃料動向予想、家賃下落の検討を綿密に行った上で、投資に臨む必要があります。
不動産会社で独自に調査分析しているケースが多々あります。また、不動産会社以外でも、実際に管理業務を委託する不動産管理会社も多くの情報を持っています。
こうした不動産会社や管理会社との情報交換や連携は、顧客へのソリューション提案を行う上でも重要なものとなります。