不動産売買関連の所得控除・特例

不動産売買関連の所得控除・特例 愛知 名古屋

譲渡所得控除・軽減税率・特例等を活用する

不動産の売買では金額が大きいだけに譲渡益が出た場合の税負担も大きいです。税金だけで数十万~数百万円かかることもあるため、税金の負担を軽くできる各種控除、特例の活用は非常に重要です。また譲渡により損失が出た場合も活用できる特例もあるので適用できるかどうか確認しましょう。 不動産売買に関連する各種所得控除、特例などは主なものを以下に記載しますので御確認下さい。

居住用財産の譲渡所得の特別控除(居住用財産の3000万円特別控除)

<特例の効果>

マイホームを売却したときの譲渡所得から3000万円を控除できる制度です。つまり譲渡所得が3000万円以下であれば税金がかかりません。

店舗兼自宅などを譲渡したときは、居住用部分の面積の全体に対する割合で譲渡収入金額を按分し、適用できる。

なお居住用部分の面積が、当該家屋の90%以上の場合は、家屋全体を居住用として適用可能である。

居住用財産の譲渡の3000万円の特別控除

<適用要件>

  • 所有期間は問わない
  • 住んでいる自宅を売却するか、住まなくなった日から3年目の12月31日までに自宅だった住宅を売却すること
  • 居住用家屋を取り壊し、土地のみを譲渡した場合、取り壊した日から1年以内に土地の売買契約を締結し、その家屋に居住しなくなった日の3年後の年末までに売却すること。かつその土地を貸付その他業務の用に利用していないこと
  • 売却した年の前年または前々年に同じ3000万円特別控除、または買換え特例や譲渡損失の繰越控除を利用していないこと
  • 売却した家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること
  • 売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例(軽減税率の特例)

<特例の効果>

長期譲渡所得の金額に対する適用税率が、所得金額6,000万円以下の部分については14.21%(所得税が10.21%、住民税が4%)に軽減されます。

なお、6,000万円を超える部分については20.315%(所得税が15.315%、住民税が5%)ですので、長期譲渡所得に対する通常の税率と同じです。

長期譲渡所得の特例(軽減税率の特例)

<適用要件>

  • 自分が住んでいる家屋を譲渡すること、もしくは家屋とともにその土地や借地権を譲渡すること。以前に住んでいて今は住んでいない家屋や土地・借地権の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡することが必要
  • 譲渡した年の前年及び前々年にこの特例の適用を受けていないこと(3,000万円特別控除の特例とは異なり、譲渡した前年及び前々年に3,000万円特別控除の特例、居住用財産を買い換えた場合の特例、または居住用財産の譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていても、譲渡した年に軽減税率の特例の適用を受けることはできる)
  • 譲渡した家屋や土地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること
  • 売主と買主が、親子や夫婦など特別な関係でないこと
  • 譲渡した年の1月1日において譲渡した家屋や土地の所有期間がともに10年超であること ※3,000万円特別控除の特例との重複適用はできますが、居住用財産を買い換えた場合の特例との重複適用はできません。

    特定の居住用財産の買換えの特例

    <特例の効果>

    個人が居住用不動産を買換えた場合に、買換え資産が譲渡資産の価額より高額な場合に譲渡がなかったものとして課税が将来に繰り延べられるという制度です。
    譲渡資産が買換え資産よりも高額な場合は、差額部分について譲渡があったものとみなされる制度です。
    特例の計算(譲渡資産>買換え資産)の場合
    ①収入金額=譲渡資産の譲渡価額ー買換資産の取得価額
    ②取得費+譲渡費用=(譲渡資産の取得費+譲渡費用)×(①収入金額÷譲渡資産の譲渡価額)
    ③譲渡益=①ー②
    特定の居住用財産の買換え特例

    <適用要件>

    • 譲渡した年の1月1日において譲渡した家屋や土地の所有期間がともに10年超であること
    • 譲渡者の居住期間が通算10年以上であること
    • 譲渡資産の価額が1億円以下であること
    • 譲渡の前年、譲渡年、翌年中に買換資産を取得すること
    • 譲渡(または取得)年の翌年末までに居住の用に供すること
    • 買換資産は建物50㎡以上、土地500㎡以下であること
    • 買換資産が中古住宅の場合、築25年以内または新耐震基準に適合するものであること

    被相続人の居住用財産(空家)の譲渡所得の特別控除

    <特例の効果>

    相続人が2023年12月31日までに、相続開始直前において被相続人のみが居住(要介護認定を受け、被相続人が老人ホーム等に入居していた場合を含む)しており、被相続人が所有していた家屋およびその土地を相続または遺贈により取得し譲渡した場合、譲渡益から3000万円まで控除することができる。

    ※「相続税の取得費加算の特例」とは併用できない。
    ※「居住用財産の3000万円特別控除」と「被相続人の居住用財産(空家)の譲渡所得の特別控除」は併用できるが合わせて3000万円 が限度となる。
    ※住宅ローン控除や居住用財産の買換え特例も適用可能です。

    空家の3000万円控除

    <適用要件>

    • 対象となる家屋は1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された家屋(区分所有建物を除く)であること
    • 相続の日から、3年目の年の12月31日までの譲渡であること
    • 譲渡価額が1億円以下であること(すべての相続人の譲渡価額の合計額)
    • 相続時から譲渡時まで、事業用・貸付用・居住用に供されていないこと
    • 家屋を解体せずに譲渡する場合には、耐震リフォームをすることにより新耐震基準に適合させること

    居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

    <特例の効果>

    居住用財産を譲渡(売却)することで譲渡損失が出ている場合に使える特例をご紹介します。

    損益通算とは、譲渡(=売却)所得を計算した上で出てきた損失(=赤字)を給与所得など他の所得の利益(=黒字)と相殺することをいい、繰越控除とはその相殺しきれなかった損失を翌年以降(3年間)の所得と相殺することをいいます。他の所得には以下の所得が該当します。

    ※居住用財産以外の土地建物の譲渡損失は、損益通算及び繰越控除ともにできない。

    損益通算・繰越控除ができる「その他の所得」とは
    ・利子所得(預貯金・公社債の利子など) ・配当所得(株式や投資信託の配当金など) ・不動産所得(土地建物の貸付の賃料など) ・事業所得(事業から生じる所得など) ・給与所得(給料・賞与など) ・退職所得(退職手当、一時恩給など) ・山林所得(木材の収益や山の売却など) ・一時所得(満期保険金や賞金など) ・雑所得(上記以外の所得、公的年金など)
     
    居住用財産の譲渡損失の損益通算と繰越控除
    「居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」は、買換えが要件になる場合と、ならない場合の2つの特例
    居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
    買換え 要件である 全年・譲渡年・翌年中に一定の居住用財産(家屋の床面積50㎡以上)を取得し譲渡年の翌年(翌年取得のときは翌々年)末までに居住 要件ではない(賃貸住宅に転居、親と同居等でも可)
    所得税等の節税効果 譲渡した(損益通算を受ける)年+繰越控除3年間=最長4年間
    譲渡資産の所有期間 譲渡した年の1月1日時点で5年超
    所得要件 損益通算の年…問わない 繰越控除の年…合計所得金額が3000万円以下
    借入金要件 譲渡資産の借入金…不要 買換資産の借入金…必要(譲渡時点で10年以上の住宅ローン残高) 譲渡資産の借入金…必要(譲渡時点で10年以上の住宅ローン残高)
    損益通算および繰越控除の額 譲渡損失(500㎡を超える土地部分相当額の損失は繰越控除対象外) 譲渡損失(住宅借入金-譲渡価額を限度)
    その他 ・損益通算する年および繰越控除を受ける都市は毎年確定申告が必要 ・親族への譲渡には適用できない ・譲渡年の前年または前前年に、既に居住用の各種特例を受けていないこと ・住宅借入金等特別控除または認定住宅新築等特別税額控除と併用できる

    特定の事業用資産の買換え特例

    特定の事業用資産(駐車場、工場など)の事業用資産を譲渡し、賃貸住宅などの事業用の土地・建物に買い換えた場合には、譲渡税課税の繰り延べを受けることができます。これを、「特定事業用資産の買換え特例」と言います。

    この特例は、事業用資産を譲渡し、所定の期間内に特定の資産を取得した際、その取得の日から1年以内に買い換えた資産を事業用とした場合に適用されます。

    この特例により、譲渡利益の80%が、課税の繰り延べとして認められます(譲渡益が非課税となるわけではありません)。

    「特定事業用資産の買換え特例」を適用するには、譲渡する資産と買換えする資産それぞれが、下記の要件を満たしている必要があります。

    なお、この法律が適用される譲渡地は、10年を超えて事業を営んでいる不動産が対象です。遊休地は対象になりません。

    事業用不動産の買換え特例

    <特定事業用資産の買替え特例を適用するための要件>

    譲渡資産

    ・国内にある土地等、建物(付属設備を含む)、構築物であること
    ・所有期間が10年超(譲渡した年の1月1日時点)であること
    ・事業用資産であること
    ・2022年3月31日(個人は2023年12月31日)までに譲渡したものであること

    買換資産

    ・国内にある土地等(事務所等の一定の施設の敷地の用に供されるもので、その面積が300m2以上のもの)、建物(付属設備を含む)、または構築物であること
    ・原則として前年、譲渡年、翌年中に取得し、1年以内に事業の用に供すること
    ・買換資産が土地の場合には、取得する土地の面積が、原則として譲渡した土地の面積の5倍以内であること。

    <特例の計算>
    譲渡資産の譲渡価額、または買換資産の取得価額のうち、いずれか少ない方の金額について、原則80%(一部地域では75%、または70%)に相当する部分については、課税の繰り延べができます。 80%課税繰り延べの際の課税長期譲渡所得の計算方法は以下の通りです。

    80%課税繰り延べの際の課税長期譲渡所得の計算方法
    (1)譲渡資産の譲渡価額 − 譲渡価額と買換資産の低い方の価額 × 0.8 = ①収入金額
    (2)(譲渡資産の取得費 + 譲渡費用)×(①収入金額 ÷ 譲渡資産の譲渡価額)= ②必要経費
    (3)①収入金額 − ②必要経費 = ③課税される譲渡所得の金額 
    (4)所得税・住民税=③×( 15.315%+5%)

    既成市街地等内の中高層耐火建築物のための買換え特例(立体買換えの特例)

    東京圏、中部圏、近畿圏内の個人地主が土地をディベロッパーに等価交換方式で、譲渡し立体買換え特例を適用した場合、譲渡益に対する課税を繰延べることができる(100%繰延べ)。 立体買換え特例

    適用対象者 個人のみ
    譲渡資産の地域 既成市街地等内またはこれに準ずる区域内、中心市街地共同住宅供給事業の区域 ※中部圏では名古屋市の特定区域
    譲渡資産の所有期間 制限なし
    譲渡資産の用途 土地等(借地権を含む、遊休地でも可)、建物、構築物あれば用途は問わない
    買換資産 <建物全体> 地上3階建以上の耐火建築物(その敷地を含む)、その建築物の床面積の2分の1以上がもっぱら居住用 <取得部分> 譲渡した年またはその翌年に取得し、取得の日から1年以内にその個人または生計親族の事業(事業規模に至らない不動産貸付を含む)の用または居住の用(親族でも可)に供すること
    譲渡益の課税繰延べ割合 100%