相続税の算出 名古屋 愛知
相続税の算出と納付税額
ここまで相続の手続きや相続人の範囲などを解説してきましたが、相続の知識として忘れてはならないのが相続税です。相続は資産を得られる代わりに税金が発生するため、必要な知識がないと損をしてしまうこともあります。
しかし、相続税は場合によって控除や特例を受けられることもあるのです。ここからは相続するときに知っておきたい、相続税の基礎知識について解説します。
課税遺産総額
課税価格
課税価格の計算式
課税価格(千円未満切り捨て)=取得財産額ー(債務+葬式費用)+生前贈与加算
課税遺産総額=課税価格の合計額ー遺産に係る基礎控除額遺産に係る基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
※遺産に係る基礎控除額を算出する場合の法定相続人の数は、相続放棄した者があっても、その放棄がないとした場合の相続人の数となります。
法定相続人と養子
被相続人に養子がある場合には、法定相続人の数に含める養子の数は以下の要件となります。
・被相続人に実子がある場合…1人
・被相続人に実子がない場合…2人
※実子とみなされる者
・特別養子縁組による養子となった者
・被相続人の配偶者の実施で被相続人の養子となった者
・被相続人の実施もしくは養子の
代襲相続人
※代襲相続人とは被相続人が相続開始前に死亡、または相続権を失ったため、その者に代わって相続人となったその者の直系卑属
相続税の総額
遺産を実際にどのように分割したかにかかわらず、課税遺産総額を被相続人の法定相続人が法定相続分に応じて相続したものと仮定して、各人の取得金額を計算し、この各人の取得金額にそれぞれ相続税率を乗じた金額を合計する。
各法定相続人の取得金額
各法定相続人の取得金額(千円未満切り捨て)=課税遺産総額×各人法定相続分
相続税の総額
相続税の総額の計算式
相続税の総額(百円未満切り捨て)=(各法定相続人の取得金額×税率)
(相続税の速算表)
相続税の総額の基となる税額=(A)×(B) - (C)
法定相続分に応ずる取得金額(A) |
税率(B) |
控除額(C) |
1,000万円以下 |
10% |
- |
1,000万円超~3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
3,000万円超~5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
5,000万円超~1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超~2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
2億円超~3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
3億円超~6億円以下 |
50% |
4200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
各人の算出税額
按分割合
各人の按分割合=各人の課税価格÷課税価格の合計額
算出税額
各人の算出税額=相続税の総額×按分割合
納付税額の計算
相続税の2割加算
各人の算出税額を計算する場合、相続や遺贈によって財産を取得した者が、被相続人の1親等の血族(代襲相続人を含む)および配偶者以外の者である場合には、その者の算出税額にその相続税額の2割に相当する金額を加算する。なお、被相続人の養子となっている直系卑属(代襲相続人を除く)も2割加算の対象となる。
暦年課税分の贈与税額控除
被相続人から相続開始前3年以内に財産の贈与を受けているために、その財産の価額が相続税の課税価格に加算される場合には、その者の相続税額から、その贈与を受けた年分の贈与税額の内、その加算される財産の価額に相当する贈与税額が控除される。その際、相続税額から控除しきれない場合でも、その控除しきれない贈与税額は還付されない。
配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者の税額軽減額=相続税の総額×(A÷相続税の課税価格の合計額)
Aはア、イのうち少ない方の金額ア B×配偶者の法定相続分(1億6000万円に満たないときは1億6000万円)イ 配偶者が実際に取得した財産の価額(課税価格相当額)
配偶者は、上記計算式による税額軽減の適用を受けると、結果として配偶者の法定相続分または1億6000万円のいずれか多い金額まで相続税はかからない。
配偶者には婚姻期間の要件はなく、相続を放棄した配偶者でも本制度の適用は可能です。
未成年者控除
相続や遺贈によって財産を取得した者が、法定相続人で、かつ20歳未満である場合は、その者の相続税額から、以下の計算式による金額が差し引かれる。
未成年者控除額=(20歳※1ー相続開始時年齢※2)×10万円
※1 民法改正により、2022年4月1日より20歳が18歳に引き下げられる予定※2 1歳未満の端数は切り捨てる
未成年者控除額がその者の相続税額を超える場合には、その超える金額をその者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができる。
障害者控除
相続や遺贈によって財産を取得した者が、法定相続人で、かつ障害者である場合は、その者の相続税額から、以下の計算式による金額が差し引かれる。
障害者控除額=(85歳ー相続開始時年齢※1)×10万円※2
※1 1歳未満の端数は切り捨てる
※2 特別障害者は20万円
障害者控除額がその者の相続税額を超える場合には、その超える金額をその者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができる。
相続時精算課税分の贈与税額控除
相続時精算課税制度の選択をしたことにより生前贈与された財産は、相続開始前3年以内にかかわらず、原則として相続財産に加算して相続税額を計算する必要があります。相続時精算課税制度による生前贈与時に課された贈与税額があるときは、その贈与税額を相続税額から控除することができます。相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない贈与税額は還付を受けることができます。
相続税の申告・納付
相続財産の価格(
課税価格)が、
基礎控除額を超えた場合は申告が必要になります。相続税を納めるのに必要な申告書の作成は税理士に依頼するのが一般的です。
申告期限は被相続人が死亡した翌日から10ヶ月以内です。申告期限を超えてしまうと無申告加算税と延滞税を納めることになります。
また、納付方法は金融機関の窓口が一般的ですが、税務署の窓口やクレジットカード、コンビニでも支払うことができます。
そのほかにかかる税
不動産相続では相続税以外にもかかる税金が存在します。相続を進めるときに、どのような税金があるのかを知っておきましょう。
登録免許税
不動産を相続して名義変更を行う際に支払う税金が「
登録免許税」です。登録免許税は、固定資産評価証明書に記載された不動産価格に税率0.4%を掛けたものになります。計算式で表すと以下の通りです。
不動産価格(固定資産税評価証明書記載額)×税率0.4%
また、2021年3月31日までに登記しており、一定の条件を満たしていれば、相続した土地の登録免許税が非課税になる制度があります。
固定資産税
不動産にかかる税金が「
固定資産税」です。固定資産税は相続した不動産の価値をもとに金額が決められ、その不動産がある市町村に納めます。もし、相続した不動産に住んでおらず、放置している状態でも相続人は固定資産税を支払う義務があります。
所得税
所得税は死亡した被相続人の収入にかかる税金です。ここでいう所得税は、死亡した人がその年に支払うはずだった税金のこと。この所得税は相続人が代理で「準確定申告」をして納付します。相続した土地や建物などの資産にはかかりませんが、遺産を賃貸や売却をして収入を得たときや死亡保険金を受け取ったときなどに所得税がかかります。また、ケースによっては支払い義務がない場合もあります。やや仕組みが複雑ですので、自分の場合はどうなのか判断に悩んだら専門家に相談するのがおすすめです。